NPO法人 日本野鳥の会鳥取県支部
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(2016年)発信分


・ヒーリングバードの三回目を中部地区で開催 (2016/12/23)

 今年度の新企画「ヒーリングバード」は、第3回目を12月11日(日)倉吉市の伯耆しあわせの郷で開催し、無事終了しました。当日は朝から冷たい雨で野外散策は中止。同時開催予定だった探鳥会に集まった会員からの飛び入り参加2人を加えて、総勢16人で実施しました。最初にネイチャーゲーム、次にヒーリングにあわせたマインドフルネス、最後にヒーリングバードづくりです。窓の外のそぼ降る雨も気にせず、全員熱心にチクチクしました。今回は次の予定があって早く帰る人があったので、全員(鳥)集合の写真はちょっと寂しい感じですが、それぞれ可愛らしいヒーリングバードができました。

   
     最初にネイチャーゲーム      クリスマスバージョンのヒーリングバードです

 ヒーリングバード大山、鳥取、倉吉の参加者66人からアンケートの回答がありました。
  参加者アンケート結果(PDF)

 結果的に大好評のイベントでした。スタッフの皆さんにもお世話になりました。ありがとうございました。
(by H.T)


・「冬季セミナー+斐伊川河口探鳥会」の報告  (2016/12/07)

 12/3〜12/4に西部地区恒例の「冬季セミナー(@松江市 宍道ふるさと森林公園)+ 一泊探鳥会(@斐伊川)」を行いました。今年のセミナーでは、島根県支部副支部長と事務局長をお招きして、斐伊川河口周辺で観察された貴重な鳥 厳選10種についての素晴らしい写真を交えながら、島根県支部が宍道湖・中海で行ったガン・カモ類調査活動の詳細について伺いました。鳥取県支部でも中海周辺での探鳥会や調査活動を行っており、今後は両支部が協同して様々な活動を行う機会が増えることが期待されます。セミナーの後はログハウスで恒例の夕食会。各自の自慢の手料理や好きなお酒の持ち込みもあり、食事を楽しみながら、尽きない歓談が夜遅くまで続きました。

   
 冬季セミナー講師、秦島根県副支部長による講演   ログハウスでの食事会の様子

 翌朝はこの時期にしては穏やかな好天に恵まれ、絶好の探鳥日和でした。日の出前に斐伊川河口に着くと、中洲では約300羽のコハクチョウの中に今季の当地の目玉:ハクガン3羽などが休んでいました。やがて夜明けとともに、東の宍道湖湖面からマガンの群れが鍵になり竿になりして中洲の方に向かって飛来、きりもみ状態で着水するという「落雁」を十分堪能しました。

 
                 斐伊川河口の朝焼け

 
               コハクチョウが多数集まる川面

 
             朝焼けの中、マガンのねぐら立ちを待つ

 
               河口の落雁を見守る参加者

 今回の参加者は17人(全員会員)、観察された鳥は山の鳥15種、水辺の鳥42種、合計57種もの鳥種を記録しました。(特記鳥種:ハクガン(juv)3、アカツクシガモ1、ケアシノスリ1、クロツラヘラサギ1、ベニマシコ♂1、ホオアカ♂1など

(by T.T)


・天神川のコハクチョウからのお願い、
  「東郷池で、冬に花火は打ち上げないで下さい!」
(2016/11/24)


(1)コハクチョウからのお願い


 鳥取県中部の天神川に、今年もシベリアからはるばるとコハクチョウたちがやって来ました (先日の11/13に当支部会員が7羽を初認)。
 彼らの子育ての地は、北極海に面したシベリア最北のツンドラ地帯。そこから自分たちの翼の力だけで、4000kmもの距離を越えて毎年この天神川にやって来ているのです。よほど、この天神川の環境が気に入っているのでしょう。
 そんな彼らですが、何だか困っていることがあるそうです。ちょっと、その悩みを聞いてみましょう。
 
 
「私たちは、この天神川の環境が大好きです。川幅が広くて、ネグラになる中州もあって、天敵のキツネを心配しなくても良い。周りには冬の餌場になる田んぼもあります。何よりも、この地域の人たちは私たちにとても優しい。私たちにイタズラをするような人には、今までに会ったことがありません。

 でも、たった一つだけ困っていることがあります。それは、毎年の12月の夜に、少し離れた東郷池で連続して大きな爆音が立て続けに鳴ること。まるで、私たちに向けて猟銃が連続して撃たれているみたいで、こわくてたまりません。

 去年の12月の夜にも、あの爆音が連続して鳴り始めて、とうとう我慢できなくなって、みんなで天神川の上流の方にしばらく引っ越していました。こわごわと元のネグラに帰って来たのは、一週間以上経ってからでした。

 お願いです!冬に天神川の近くで花火を打上げるのは、もう止めてください・・・。」



(2)昨年の花火の際のコハクチョウの反応

当支部では、この花火イベントの主催者である「はわい温泉・東郷温泉旅館組合」に対して、コハクチョウが越冬中の間は花火イベントを中止していただくように、三年前から毎年お願いして来ました。

 しかし、残念ながら、このイベントは昨年も実施され、12/19の夜の八時過ぎには例年のように花火が打ち上げられました。その際、当支部の会員6名が天神川のコハクチョウのネグラの近くで花火の影響を観察しました。その時のコハクチョウが飛び立つときの羽音と我々の会話を録音したファイルを以下に添付します。さらに、その後の観察結果も含めた経過を示します。

 結局、ほとんどのコハクチョウたちが元のネグラに帰って来たのが確認されたのは、花火から9日も経った後でした。このクリスマス花火の音がコハクチョウたちをおびえさせ、その天神川での安住の地を奪っていることは明らかです。

 12/19
  17:15  天神川のねぐら付近でコハクチョウ23羽を確認
  20:15頃 花火打上げ開始、ドン、という音が響きわたる
           録音1 (9秒間、ファイル:MP3)
  20:18頃 ヒドリガモ等のカモ類が、鳴き交わして避難を始める
  20:19頃 コハクチョウ数羽が「コウ、コウ」と鳴き交わしながら飛び立ち、上流側?へ避難
           録音2(35秒間、ファイル:MP3)
  20:22頃 コハクチョウ20羽程度が鳴き交わしながらいっせいに飛び立ち、上流方向へ避難
           録音3(1分40秒間、ファイル:MP3)
  21h頃までその場に待機するも、コハクチョウはネグラには帰らず

 12/20
  7h過ぎ  ねぐら付近に3羽、倉吉市と三朝町の境界付近の天神川の堤に2羽
  日中   湯梨浜町田後に5羽
  夜    この日の夜も東郷池で花火を打ち上げた。会員三名が観察したが、この夜は最初から
       コハクチョウはネグラにいなかった。

 12/23
  7h過ぎ  倉吉市と三朝町の境界付近の天神川の堤に21羽

 12/28
  7:45   ねぐら付近に28羽(うち幼鳥3羽)


(3)当支部の東郷池クリスマス花火に対する取り組みの経緯

 当支部のこれまでの取り組みを以下に示します。

 2013/12/21,12/22 東郷池で花火打上げ。当支部会員が、両日にわたって天神川のコハクチョウ
           の様子を観察。両日とも、コハクチョウは花火に驚いて飛び去った。
 
 2014/12/13 県中部の当支部会員が「はわい温泉・東郷温泉旅館組合」に対して、口頭で中止の
        要望を申し入れ。
    12/20,12/21 同組合は花火打上げを実施。
    12/23 東郷池南岸の燕趙園でも花火を打ち上げ。この時に天神川で観察した会員によると、
        花火を打ち上げ始めて10分後に、コハクチョウの一部が鳴き交わしながら川下へ
        移動したとのこと。

 2015/4/22 はわい温泉・東郷温泉旅館組合」と燕趙園を運営する県観光事業団宛てに、
        当支部支部長名で「クリスマス花火鑑賞会の中止要望書」を提出。
        燕趙園は中止を決定したが、旅館組合は、この年も花火打上げを続行。
    12/13  旅館組合宛てに支部長名で再度要望書を提出。
    12/19,12/20 花火打上げ。この時のコハクチョウの反応については、上に述べた通り。

 なお、12/19付けの毎日新聞、及び日本海新聞の記事によると、旅館組合は当支部の要望に対して、「天神川とは離れており、時間も花火の大きさなども配慮している。中止は考えていない。」(日本海)、「規模も小さく、打ち上げる場所も考慮している。野鳥保護に全く配慮していないわけではない。」(毎日)との見解を述べている。

 2016/4/22  旅館組合宛てに支部長名で要望書を提出。
 2016/11現在 旅館組合は、今年も12/23,12/24に花火打上げを計画中!!



 ← 今年の花火計画(クリックで拡大します)

 主催団体:「はわい温泉・東郷温泉旅館組合」
  tel:0858−35−4052
  ホームページ:http://hawai-togo.jp



 上に述べたように、当支部では同旅館組合に対し、過去三年に渡って再三の花火中止申し入れを行なってきましたが、同旅館組合からの回答も、当支部への直接の見解表明も、今までに何ひとつありませんでした。
 
 同旅館組合の唯一の見解表明と言えるのは、上に挙げた2015/12/19付けの二件の新聞記事の中のコメントでしょうか?「花火の打ち上げ方法には配慮している」との事ですが、コハクチョウ達は旅館組合の花火に驚いて、毎年、天神川のネグラから避難し続けているのが現実です。

 参考までに、下に花火の打ち上げ場所とネグラの位置関係を示します。2014年に一回だけあった燕趙園の花火の際には、打上げ地点が4.6km離れていても、コハクチョウはいったんは飛び去る動きを見せていました。旅館組合の打ち上げ場所は、ネグラから3.0kmしか離れていません。花火がコハクチョウに強い影響を与えていることは明白です。

 


(4)古来から、日本人は白鳥が人に幸福をもたらすとの信仰を持ってきました

 日本では、白い動物を見かけることは一般に吉兆とされています。織田信長が桶狭間に出陣する途中で熱田神宮に参拝した際に、境内から白鷺が飛び立つのを見て、「これぞ、熱田の大神が我々を護り、勝利に導くしるしである!」と兵達を激励したとの話が現代にまで伝わっています。

 今日でも白いヘビや白いスズメに出会うのは縁起がよい事と言われており、ネット上でも、しばしばその種の話題を目にすることが多いものです。しかし、縁起の良い白い動物としては、白鳥に勝るものはありません。日本の神話・伝説の世界では、白鳥は神からの使いとしての確固たる地位を得ているのです。以下、その例をいくつか紹介しましょう。

 @ 伏見稲荷大社(京都市)の創建縁起

 全国に約三万社あると言われる稲荷神社の総本山。最近は、この神社の参詣路にある千本鳥居が特に外国人観光客の人気を呼び、連日たいへんなにぎわいだそうです。この神社の創建時の言い伝えに白鳥が登場しています。
 「当時、山城盆地に勢力を拡大していた秦氏の先祖が、ある日、戯れに餅を的にして矢を射た。すると餅が白鳥に変身して飛び立ち、この山に舞い降りると、そこに稲が成った。これにより、この地に神社を創建し、「稲成り」転じて稲荷神社と名付けた。・・・」。ここでは、白鳥は、この地に豊作と繁栄をもたらす象徴とみなされています。

 A 垂仁天皇の第一皇子、ホムツワケのミコトに関する伝説

 「古事記」及び「日本書紀」には、ホムツワケのミコトは生まれてから成人となるまで一言も言葉を発しなかったが、ある日、白鳥が空を飛ぶのを見たことがきっかけで言葉を話すようになったとあります。この話の展開は両書でかなり異なるのですが、いずれにしても、皇子の生得の障害を治癒する存在として白鳥が登場していることに違いはありません。
 なお、この慶事の結果として、大和朝廷の信仰の対象としての白鳥を捕獲・飼育し愛玩する部門としての「鳥取部」や「鳥飼部」等が創設されました。鳥取の地名は、この鳥取部が現在の鳥取市の中心部(古代にはアシ原が生い茂る低湿地であり、白鳥が多く飛来していたものと推定される)に置かれていたことに由来しているものと考えられます。

 B 古代の英雄、ヤマトタケルの死後に関する伝説

 古代の英雄であるヤマトタケルのミコトは、先に述べた垂仁天皇の第三皇子である景行天皇の皇子とされています。この人物の死の前後の描写については、「古事記」及び「日本書紀」の記載内容に大きな相違はありません。
 東国を征服した後、大和に帰る途中で現在の滋賀・岐阜県境にある伊吹山に登り、そこで氷雨に打たれて衰弱したヤマトタケルは、遂にはこの山のふもとで病死してしまいました。死後にその体は白鳥に変身、その姿のままで畿内各地を巡ったのちに天に昇ったとされています。ここでは、白鳥は稀代の英雄が死後に変身した姿として、最終的には彼の先祖である神々が居ます天上に帰る存在として描かれています。

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 上に述べた伝説の中で白鳥は、地域に豊穣と繁栄をもたらす存在、過去に不幸であった者を救済し再生させる存在、英雄がその死後に変身し昇天する仮の姿等として表現されています。古代の日本人にとって、白鳥は、地上の人間の不幸を救済するために天上の神が遣わした使者であると受けとめられていたのでしょう。

 ホムツワケのミコトも、ヤマトタケルも、おそらく実在の人物ではないのでしょう。餅が白鳥に成り、死んだ英雄が白鳥に変身し、モノを言えなかった皇子が白鳥を見てモノを言えるようになった話も、たぶん事実ではないのでしょう。おそらく、複数の人物に関する実話を素材として、古代の日本人の「人と自然は、かくあって欲しい」との願望を媒介として創出された物語なのでしょう。

 しかし、古事記と日本書紀が書かれた奈良時代初期、さらにそれ以前の数世紀にわたる古代の人々が、このような価値観と自然観を持って日々生活していたことは、まぎれもない事実です。当時の大和朝廷とその後継者である日本の皇室が、白鳥に対して特別の敬愛の念を抱いてきたことも明らかです。それらの、我々の先祖の自然観は、白鳥を見て喜ぶ今の私たちの心の中にも幾分かは残っているものと思います。

 さて、再び天神川のコハクチョウの問題に戻ります。我々のご先祖が、4000kmの彼方から(現在の知識を持たない近世以前の人にとって、天空の世界から降りて来たとみなしても不思議ではない)はるばると天神川まで飛んできた白鳥を15分間の花火のために無神経に追い散らしている子孫たちを見たら、いったい何と言われるでしょうか?「このバチアタリどもめ!」と嘆かれるのではないでしょうか。

 古代日本人の価値観から見れば、天上の神からの使者である白鳥を喜んで迎えるどころか、白鳥を迫害する行為を毎年繰り返している東郷池には、幸福と繁栄がおとずれることは決してないでしょう。古代から日本に住まわれているあまたの神々も、決してこの種の行為をお許しにはならないでしょう。


(5)鳥取県中部に伝わる天女・羽衣伝説は、本来、白鳥と密接な関係にある

  鳥取県中部では天女と羽衣に関する伝説が現在まで語り伝えられてきており、倉吉市の打吹山と湯梨浜町の羽衣石山の二か所がその舞台とされています。

 天女・羽衣伝説は日本各地、そして世界各地に広範囲に分布していますが、この伝説の起源は、白く輝く美しい白鳥の姿に接した古代人の感動に由来するというのが現在での定説となっています。
 「白鳥処女伝説」、「羽衣伝説

 羽衣石山と東郷池が位置する湯梨浜町では、町の主催で四年前の平成24年11月に「天女シンポジウム」を開催しています。天女・羽衣をキーワードとして観光等による町おこしを図ることが、このシンポジウムの目的なのでしょう。旧東郷町(現在は湯梨浜町)の教育委員会の方も、このシンポジウムを紹介すると共に、東郷池の環境保全の大切さを力説されています。
 「ふるさとオモシ論

 このシンポジウムの中で講師として登場した鳥取県の平井知事は、特別講演の冒頭で、東郷池の白鳥などの水鳥と天女の間にはなにか関係があるのではないかと指摘されています。次いで基調講演「伯耆の国の天女伝説」の講師を担当された鳥取大学名誉教授の野津龍氏は、この疑問に答えて、講演の終盤で世界の白鳥・天女伝説について詳しく触れられています。世界各地では、天女と白鳥は不可分の存在であると見なされていたというのがその解説の要旨です。
 「天女シンポジウム報告書 (PDF)

 このように、倉吉市と並んで天女・羽衣伝説をPRし地域起こしに努めている湯梨浜町が、その一方で、天女伝説の元々の由来であるところの白鳥を何年も花火で脅して追い払い続けているというのは、大いなる自己矛盾なのではないでしょうか?

 さらに、この花火がコハクチョウをネグラから追い出している原因となっていることを知った東郷池への訪問客の皆様は、果たしてこれからも、心の底からこのクリスマス花火を楽しむことが出来るのでしょうか?

 お客様が地方の温泉に求めているのは、日々の疲れを回復させることができる癒しの場のはず。派手な光や騒音の場などは都会でいくらでも経験できるはずです。白鳥がのんびりと安心して冬の水田で餌を食んでいる光景、白鳥から天女を連想した古代の人々に想いを馳せるひと時こそが、白鳥に由来する地名を持つ鳥取の地が誇りを持って来訪客に提供できるものであり、かつ、真の癒しの場となり得るのではないでしょうか?

 旅館組合の皆様には、このクリスマス花火の今後の継続について、あらためて再考をお願いしたいと思います。

/以上
(by 管理人)


・ヒーリングバード開催の報告 (西部 & 東部) (2016/11/20)


・11/6(日)大山町大山寺

 昨日下見したときは良い天気だったのに、今日は強風と雨。ガスもかかり、野外散策は断念。その分、支部の活動紹介を丁寧におこない、ヒーリングバード作りもゆっくりできました。

 参加者ですが、(申し込みは全て受けて)無理して詰め込んで・・?、27名。小学校高学年以上が24名、低学年3名はお母さんと一緒の作業です。夫婦1組、ヤングカップル(?)2組、成人男性は3名。

 パソコンとプロジェクターを使い、パワーポイントで作り方を説明。実際に作り始めたのは9時45分、全体が概ねできあがったのは11時15分で約1時間半。早い人、ゆっくりの人の差がありました。
 参加者の年代別ですが、10代6名(小学生〜高校生)、20代3名(OL?)30代5名、40代8名、50代以上3名、無回答2名!
   

 野外散策ができなかったのが残念との意見はありましたが、フェルトを使ったヒーリングバード作りは、すこぶる好評でした。


・11/13(日)鳥取市樗谷公園

 ヒーリングバードの第2回目は、オウチ谷公園にある「やまびこ館」で開催しました。参加者は26名。うち、男性1名、母子は3組。

   

 先週の大山とは打って変わって穏やかな天候、野外散策には申し分のない陽気でした。9時から10時ごろまで野外を散策した後、やまびこ館の地階研修室に場所を移して、羊毛フェルト製のヒーリングバードを手作りしました。

   

 当支部のオリジナルデザインなので、作り方をじっくり説明。女性スタッフ4名が各テーブルを回り、完成までアドバイスしました。最後に全ての作品を並べて記念撮影。手作りならではの、いずれも可愛らしい自分だけのヒーリングバードが出来上がりました。


・次回は、12/11(日)に倉吉市で開催します!

 次回の第3回目は、12月11日に倉吉市の伯耆しあわせの郷で開催します。

 女性、または女性に同伴された男性の皆さん ぜひご参加ください。

 但し、部材の関係で、定員の20人になりましたら締め切らせていただきます。あしからず
 
(by T.T)





・10/2 オウチ谷公園探鳥会の報告 (2016/10/8)


 集合時間の九時ギリギリに公園横の鳥居に到着すると、今日の参加者は自分を含めて九名(うち初参加者?が二名。)夏鳥が去り、鳥の声も少なくなったせいか、この時期の参加者数は今ひとつのようです。

 いつも通りに神社への参道を歩き始める。遠くでヒヨドリの声が聞こえるだけで、あたりは静か。神社(鳥取東照宮)の前まで来ると、数人の男性が境内の掃除をしている。来週に祭りがあるとのこと。この神社は元々は池田藩の殿様の所有であったためか、氏子となる家は無いらしい。祭りの準備もボランティア頼みで、なかなか大変なようだ。

 階段を登って神社の裏手に回ると、ヤマガラの群れが木の実をつついていた。総勢で五、六羽か。皆でしばらく見ていると、さかんに左手の斜面の中に飛び込んでは、また、この樹へと帰って来る。「冬越しの準備かな、木の実を隠しているのでは?」と言う声。もう冬支度をしているんだね、準備万端だ。

 この樹(イヌシデ?)の下で落ちた実を探していると、エライものを見つけた。ハリガネムシが一匹、のたうちながら地面を這い回っていたのだ!!! 外で単独で行動しているハリガネムシは初めて見た。近くの人に見せると、「ウヘー、気持ち悪い!」と叫んで、あっちの方へと逃げて行った。(ハリガネムシの写真は一応は撮ったものの、拒否反応が強いだろうから掲載は省略。)

 以前、「ハリガネムシが寄生しているカマドウマの脳をあやつって、秋になると川の中に飛び込ませるという記事」を読んだことを思い出した。一瞬間、「俺の脳にも何かが寄生していて、夜になるとアルコールを求めて俺を歩き回らせるのでは?」という突拍子もない妄想が脳裏に浮かんでしまった。

   
  現われたエナガに参加者全員が注目。     イヌシデ?の実を食事中のヤマガラ

 さて、さらに歩いて大宮池のほとりまで来たが、あいかわらず鳥の姿は少ない。何かヒタキ類のような声が遠くでグゼッていたが、よく判らない。録音用のICレコーダーを持って来ればよかった。

 そうこうしているうちに、池の上をカワセミが飛んだ!それも二羽!!北側の岸の木の枝に停まったので、あわてて南岸に移動してじっくり観察。姿がはっきり見えている一羽は、羽の色がぼんやりしていて幼鳥らしい。もう一羽は成鳥のようだが、姿はなかなか確認できない。

 幼鳥の方は、陽の当たる枝先に停まって何度も水面に飛び込むものの、いつも失敗。魚取りはまだ下手なようだが、おかげで写真が何枚か撮れた。この池の南岸は歩道になっていて、散歩の人が絶え間なく通り過ぎる。肉眼でも見える位置に停まっているカワセミを我々と一緒に見る人も多く、飛び込むたびに周りで歓声があがった。当会の活動をアピールするには、ここは最適の場所かも。何しろ、鳥取の旧市内で日曜日に一番人通りが多いのは、この歩道なのだから・・??

   
胸がまだ黒いので今年生まれか?カワセミ幼鳥  池のそばに奇妙なキノコ、調べたが種名は不明

 結局、カワセミの観察だけでも三十分以上を費やしただろうか。11時が迫って来たので、鳥居のところまで下って鳥合わせをして終了。確認した種類はわずか10種と記録的に少なかったものの、ヤマガラやカワセミを十分に観察できて、なかなか良い探鳥会でした。

(by 管理人)



・9/18 タカの渡り観察会(広島市佐伯運動公園)の報告 (2016/9/26)

 9月の西部地区の探鳥会は、昨年に引き続きタカの渡りの観察です。昨年までは広島県の世羅の新山に行きましたが、今年は広島市佐伯運動公園を計画しました。9月18日の日曜日実施予定ですが、台風16号と秋雨前前線で天候は最悪。山陰では雨はそれほどではないもの、広島市では避難勧告も出ています。

 前日から、どうする?どうする?と連絡が飛び交いますが、レンタカーは予約しているし、雨なら八幡川河口でシギチ観察という奥の手を用意しての決行です。曇りの米子を朝6時半に参加者8人、土居支部長の運転で出発。松江尾道道路を通って三次から中国道、広島市五日市を目指します。

 山陰の平地は曇りでも松江尾道線で中国山地に入ると雨が降り出し、だんだん強く、激しい雨に変わってゆきます。尾道道路は雨で途中が通行止めになっています。この天候じゃタカは飛ばないかとも思いますが、奥の手があるので余裕 余裕。

 現地集合の2人をJR五日市駅と佐伯運動公園で乗せて、総勢10人。全員集合してはみたものの雨が降り、ガスも厚くコンディションは最悪。早々にあきらめて八幡川河口に向かいました。海岸まで来ると雨は小降り状態で何とか観察できそうではありますが・・・。大潮の満潮直後、台風も近づき、川も雨で増水。干潟など見あたらず水面にカワウと、上空にカモメのみ。嗚呼・・・。

 コンビニで昼食を購入し、近くの探鳥地でゆっくり食べることにします。土居支部長が広島県支部の人と連絡をとり、「大野自然観察の森」まで行くことに決定。せめて屋根とトイレのある施設で昼食を食べながら鳥談義でも・・・。

 カーナビの案内で進みますが、2号線から山にはいると狭い山道5kmほど、対向車との離合もままなりません。結局対向車は1台のみで、ようやく目的地の駐車場に到着しましたが、施設まではさらに歩いて200メートル。傘を差して歩くと、アクセス道路に似合わない立派な観察センターがあり、職員の方が2人おられました。

 ダム湖のほとりの観察センターの軒下のイスとテーブルで昼食をゆっくりいただきました。ここは秋の紅葉シーズンには、ダム湖周辺に群生するベニマンサクを見に来る人でにぎわうとのこと。ホール内には野鳥の剥製、野鳥の巣、昆虫の標本などが展示してありました。天候の回復が見込まれないので早々に引き上げましたが、天候がよければ、最高の隠れ家的探鳥地かもしれません。

  
  大野自然の森 観察センターにて            同左

 最後にセンター前で集合写真を撮りました。I少年(会員)1人で平均年齢を5歳以上引き下げてくれています。
  
       観察センターにて            総勢10名参加でした


 
(by H.T(文)、T.T(写真))


・細谷賢明先生(日本野鳥の会鳥取県支部 初代支部長)を偲んで (2016/9/17)

 本年6月23日、細谷賢明先生がお亡くなりになりました。享年90歳でした。
 細谷先生は、日本野鳥の会鳥取県支部の設立に尽力されるとともに、支部設立後は支部長として7年間、会の活動をけん引され、退任後も顧問として後進の指導にあたっていただくなど、本当にお世話になりました。ご冥福をお祈りいたします。

 〜細谷賢明先生略歴〜
                   
 大正14年 東伯郡三朝町片柴生まれ
 昭和37年 日本野鳥の会入会
   53年 鹿野中学校長就任
   55年 全国愛鳥教育研究会設立 副会長就任
   59年 青谷中学校長就任
   61年 定年退職
   62年 気高野鳥の会設立
 平成 3年 山陰バンダーの会 会長就任
    4年 日本野鳥の会鳥取県支部設立 支部長就任
    7年 日本鳥学会発表 鳥取県・糸録池に周年生息するオシドリの年変動と性比
   11年 日本野鳥の会鳥取県支部 支部長退任 顧問
   12年 日本オシドリの会設立(設立発起人の一人)
 <表彰>
 平成 5年 第47回全国野鳥保護のつどい 日本鳥類保護連盟総裁賞 受賞
   23年 鳥取市文化賞(自然科学)受賞
   25年 瑞寶雙光章を受章(旧勲5等瑞宝章)


・「先駆者 細谷賢明先生の思い出」 土居克夫(米子市、日本野鳥の会鳥取県支部 現支部長)

 「どうもどうも細谷です」。2年前の春に、ご自宅の玄関でお話ししたのが最後になってしまった。私と細谷先生が初めてお会いしたのは、80年代初めの山楽荘での一泊探鳥会だったと記憶している。
 夕食後にクマタカの写真や手に鳥をつかんだ標識調査の写真を見せていただいた。私はこの時初めて標識調査を知った。細谷先生は1980年から標識調査を始められている。現在は400人を超す標識調査員がいるが、当時は全国に150人しかいなかった。もちろん山陰には皆無だった。

 後に「山陰バンダーの会」を結成、細谷先生には会長をお願いした。晩年、大規模な調査ができなくなっても、自宅の庭で何年も同じシロハラを捕獲したことを報告されていた。
 細谷先生は標識調査以外にも愛鳥教育にも力を注がれた。「鈴木少年が・・・・」、セグロカッコウ日本初記録の話は何回となく聞いた。細谷先生の自慢のひとつであった。  

 退職後も鳥類保護連盟の愛鳥教育活動や鳥取県の愛鳥週間ポスターコンクールの実施などに関わっておられた。ほかにも、ライフワークであったオシドリやイヌワシの観察や調査研究にも熱心であった。支部結成最初の活動となったオシドリ調査と報告書「鳥取県のオシドリ」は、細谷先生が中心となって進められた。また野鳥の生態のカメラマンとしても、県内では最初ではなかっただろうか。

 支部を結成したいという話も、最初に相談したのも細谷先生だった。自宅にお邪魔して初代支部長の就任もお願いした。当時、「気高野鳥の会」の会長だった細谷先生は「発展解消して支部を作りましょう」とおっしゃって下さった。

 葬儀で細谷先生の遺影を見ながら、細谷先生の目指された野鳥の会鳥取県支部に少しでも近づけるように活動を続けることが私たちの使命だと強く感じた。細谷先生の戒名は「温厚院賢誉教学」。細谷先生らしい。ゆっくりとお休みください。
(支部報「銀杏羽」9・10月号より転載)


・8/7夜に「ツバメのねぐら観察会 in 米子」を開催しました (2016/8/21)

 昨年から復活した「ツバメのねぐら観察会」を8月7日の夕方に開催しました。昨年のねぐらの安来干拓地はアシが刈り払われており、米子水鳥公園の米子港側にある国土交通省の管理地(浚渫用地)が今年のツバメのねぐらです。ちょうどこの日の夕方は「米子がいな祭」の花火大会が米子港で開かれることから、観察地付近の大渋滞も予想されましたが、大きな混乱もなく無事に行うことができました。

  
       夕暮れの中海           人もツバメも集まり始めました

 19時に現地のアシ原に到着、すでにツバメは三々五々集合しつつあり、地上スレスレ、あるいは上空高くから集まり出しました。アシ原の上空では大きな群れとなって、次々にアシの中に潜って行きます。1万羽?2万羽?正確な数は分かりません。

  
     観察ついでに花火も見物       ツバメたちも花火を楽しんだのかな?

 我々の歓声、どよめきもろともに、ツバメと一緒にアシ原に吸い込まれていくようでした。19時半までの30分間を参加者30人で堪能しました。20時から花火が始まり、21時までは花火見物もしてから渋滞する車の列に並んで帰りました。

 (by H.T)


・8/7に米子水鳥公園で「生きもののすみか作り教室」を開催しました (2016/8/21)

 毎年恒例の「生きもののすみか作り教室」を米子水鳥公園で開催、午前の部と午後の部の合計で親子連れ7組、計18人が参加されました。

 西部地区は以前から野鳥の巣箱コンクールが開催されており、今年は53回目の開催となります。西部地区では野鳥の巣箱に限定したコンクールですが、全県で行われているのは野鳥以外も対象とした野生動物のすみかコンクールです。このコンクールへの出品と夏休みの自由研究も兼ねているのでしょう。野鳥では、シジュウカラ、ブッポウソウ、アオバズク、セキレイ、キツツキ、野生動物では、ヤモリ、コウモリ、ミツバチでした。

  
    お父さんと一緒に作業           こちらは、お母さんと一緒

 この教室で作ったものは入賞確実?とあって、お父さん、お母さんの手伝いにも力が入っていました。2回目、3回目の参加者もあり、作業は慣れたもの、ほとんどの家族が電動工具を持参され、ビス留めなどすいすい進みます。冷房の効いた会議室から暑い外通路に出てバーナーで焦げ目をつける親子も多く、全身汗まみれになりました。

  
    自分の電動工具持参もOK           午前の部の完成品、集合!     



 巣箱づくりをきっかけに、野鳥や野生動物の生態を調べ、自然観察や野外活動に興味を持ってくれれば、将来の野鳥の会の活動を支えてくれることでしょう。

 (by H.T)




   
こちらは午後の部の完成品です


・7/10に日南町でブッポウソウ観察会を実施しました (2016/7/17)

 7月10日(日)の西部地区探鳥会は、日南町でのブッポウソウ観察会でした。本支部では、鳥取県希少野生動植物保護管理事業の一環として県の助成を受け、県下全域でブッポウソウの保護と増殖のための活動を行っています。この時期はちょうどブッポウソウの子育て期に当たり、孵化したばかりの巣箱内の雛鳥に親鳥が盛んに餌を持って来る姿が観察されます。

 日南町ではこれまで各地区に計38個の巣箱を設置してきましたが、支部会員の観察によると今シーズンも多くの巣箱が繁殖に使われているようです。当日は給餌が始まっている巣箱を選んで巡回し、じゃまをしないように遠くからその様子を観察しました。ブッポウソウは遠目にも赤橙色のくちばしと足がよく目立ち、飛ぶと翼の濃紺と三日月型の薄いブルーの斑とのコントラストが鮮やかです。親鳥が虫(遠目にはトンボのように見える)をくわえて巣箱に入り込む姿をあちこちで確認することができました。

   
   遠くから巣箱を観察している様子        地元の方も一緒に観察 

 この日は熱中症注意警報も出る蒸し暑い梅雨の晴れ間だったので、みんな汗だくで双眼鏡を覗きました。日南ではまだ抱卵中のブッポウソウもいるとのこと、巣箱の中で赤い口をあけてハァハァ喘いでいる?親鳥の姿を思わず想像してしまいました。今シーズンも全部のヒナが無事に育ち、秋には親鳥といっしょに東南アジア目指して渡って行くことでしょう。当日の参加者は13人(このうち会員外は7人)、観察された鳥種はブッポウソウの他にホオジロ、モズ、ツバメなど12種類でした。

(by T.T)



・6/5に講演会「コウノトリ野生復帰の現状と課題」、支部定期総会を開催 (2016/7/17)

 今年6/5(日)に鳥取市福祉文化会館において、兵庫県立大学の江崎保男教授を講師としてお招きし、コウノトリ野生復帰に関する講演会を開催しました。この講演会では、当支部主催の講演会としては初の試みとして、広く一般からも参加者を募りました。当支部会員、会員外の方を含めて約40名の方が参加。講演の後では活発な質問も数点あり、盛り上がりのある講演会となりました。

 一度絶滅した野鳥を復活させ野生に戻すという困難な試みに成功するのみならず、この復帰事業を中核として豊岡市の「地域起こし」にも取り組むと言う、鳥取県内各地自治体にとっても大変参考となる内容を伺うことができました。豊岡で野生復帰したコウノトリのうちの一部がこの冬に鳥取市日光池にしばらく滞在していたように、近年では豊岡産のコウノトリが日本の各地に分散する動きを見せるようになってきています。

 以下、講演内容の概要を示します。

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 講演会「コウノトリの野生復帰と今後の課題 −科学と実践− 」
 講師:江崎保男 教授(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)
 
・日本最後のコウノトリ群がかって豊岡盆地に残存した主な理由は、この盆地の地形にあると言ってよい。盆地の中心を流れる円山川の勾配は極めてゆるく、かつ海の近くの川幅が狭くなっており、盆地内に河川水が滞留しやすい。このため円山川周辺に広大な低湿地が出現してコウノトリの生息適地となってきた。豊岡のコウノトリの現時点での生息密度は、ロシアにおける生息密度の約二倍に達している。

・コウノトリの主な餌場は、水田に代表されるような、水の流れがゆるく水深が浅い湿地である。サギやカワウのように、流れがあって水深の深い場所を速く泳いでいる魚を捕らえる能力は乏しい。

・日本国内では、1971年に野生のコウノトリはいったん絶滅した。その大きな要因としては、'60年代に大規模に実施された有機水銀を含む農薬散布の影響が挙げられる。その他の要因として、絶滅直前には個体数の減少に伴う近親婚によるDNA多様性の低下が顕著となっていたことが、近年、過去に作製されていた剥製の調査から明らかになっている。現在、野生復帰しているコウノトリは、1985年にロシアから譲り受けた個体の子孫である。

・野生復帰にあたっては、足環等を利用して個体識別することにより、その移動と生態の詳細を把握することが出来るようになった。2014年末現在、豊岡市周辺の野生のコウノトリは70羽を超えている。つがいのナワバリは100ha程度と考えられ、豊岡盆地の収容能力は50羽前後と推定される。

・現時点での野生復帰の問題点は、彼らが「十分に自立していない」点にある。かなりの数の野生化した個体が、いまだに「コウノトリ郷公園」の給餌に頼ろうとしている。いったん豊岡を離れて各地に分散した個体が再び豊岡に戻ってくる傾向も顕著である。日本国内各地にはコウノトリの繁殖個体群を支えるだけの十分なエサの量が無いことが、最大の問題点である。'70年代に全国で水田圃場整備事業が実施され、その結果、水路と田んぼの間に段差が生じ、コイ・フナ・ナマズ等の淡水魚が産卵のために田んぼに上がれなくなったことが、このエサ不足の背景にある。

・全国的なコウノトリの復活のためには、まず、「コメ農家が淡水魚を大事にする」必要がある。水路と水田の間をつなぐ「水田魚道」の設置や水路の段差を無くする等の改良が不可欠。現在の日本では農業と漁業が分断されて内水面漁業が衰退しているが、これを再び活性化することで生物多様性が復活し、コウノトリの全国レベルでの再生も実現できると思う。淡水魚の食文化の復活が望まれる。

・豊岡市では、コウノトリの繁殖に配慮し農薬を使わないコメ栽培が広がりつつあり、収穫されたコメは「コウノトリ米」として市場で好評を博している。コウノトリに良いレストランを提供することで、同時に地域を活性化することも可能となる。

   
  江崎先生によるわかりやすく丁寧な解説     会員外の方も多く参加されました

/以上
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 プロジェクターで豊富なデータを示しながら、コウノトリの歴史と現状の課題についてわかりやすく、かつ丁寧な解説をしていただきました。印象に残ったのは、江崎先生が「個体識別などの科学的手法を取り入れることで、初めて再生に向けた対策が可能となる」ことを再三強調されていたことです。

 自然保護、農業、漁業等の活性化を、個別のグループ各々の先入観や思い込みだけで個別に対策を立案・実施するのでは無く、まず、それぞれの分野で客観的な観察に基づいたデータを積み重ねる必要があること。それらのデータを各グループが持ち寄って総合的な観点から話し合いを重ねることで、自然保護と地域産業振興の両立が可能となるのではないだろうか・・。この講演を聞いて、そのような思いを強く持ちました。

(by 管理人)


・5/14〜5/15に恒例「バードウオッチング in 大山」を開催。(2016/5/29)

 今年で70回目になる大山一泊探鳥会「バードウオッチング in 大山2016」(本支部主催、新日本海新聞社特別後援)が5月14日(土)・15日(日)大山寺(鳥取県西伯郡大山町)で開催しました。このイベントでは、14日(土)午後4時からの夕暮れ探鳥会、15日(日)午前4時半からの早朝探鳥会、同日9時からの探鳥会、合計3回の探鳥会を企画するため、大山寺に一泊するもよし、当日現地集合で参加するもよし、それぞれの都合や体力に合った時間帯を選んで参加してもらうことができます。


  
   宿坊「山楽荘」の前庭からBW開始     参道の石畳でオオルリを観察

 本支部では鳥見初体験の方にもやさしい・楽しい探鳥会の運営を目指しています。当日は受付で双眼鏡の貸し出しも行い、コース出発前にはリーダーが丁寧に使い方を教えました。散策路ではリーダーが鳥の声の聞き分け方や姿の探し方のほか、大山の貴重な花々や遺跡についての解説も行いました。宿泊コースでは、おなじみ大山寺の宿坊「山楽荘」で山菜フルコースの夕食を楽しんだ後、恒例の「外れくじなし 鳥グッズプレゼント抽選会」で盛り上がりました。


  
 
  寂静山から大山北壁を望む         夕食は山楽荘で山菜のフルコース

 2日間ともおだやかな晴天に恵まれ、大山定番のオオルリやキビタキの姿や声を堪能したのはもちろん、ヒガラ、アカショウビン、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、サンショウクイなどの声も楽しみました。3回の探鳥会を通して合計36種の鳥の声や姿を確認しました。
 新聞記事や支部ホームページでイベント開催を知ったという鳥取・島根の方々、遠く県外から参加してくださった方々、当日大山寺を通りかかった飛び込みの方なども含め、2日間の参加者はのべ93人(会員外39人)に上りました。今年参加してくださったみなさま、また来年も大山寺でお会いしましょう!

(by T.T)



・湖山池のオオワシの写真(2007年以前のもの)を探しています!
(2016/3/20)

 湖山池に毎年冬にやって来るオオワシは、近年その存在が広く知られるようになりましたが、この冬で連続23シーズン飛来して来ています。先回の2/20付け記事でも報告したように、今年一月の当支部探鳥会でもこのオオワシが元気な姿を見せてくれました。オホーツク海周辺で繁殖するオオワシが毎年越冬のために飛来する地点としては、湖山池が本州最西端と言ってもよいのではないかと思います。

 さて、このオオワシがずっと同一個体であるのかどうかが気になるところですが、近年撮影された写真を調査した結果、翼の白斑部の模様パターンがほぼ同一であることから、少なくとも2008年以降の9シーズンについては同一個体が飛来していた可能性が高くなりました。下の図の左側に、2008年以降に当支部会員によって撮影されたオオワシの翼下面が明瞭に写っている写真を示します。

 

 
‘08年以降の写真を相互に比較すると、翼下面の白い部分の模様は年によって若干の変化があるものの、その基本的なパターンは同一と言ってよいと思います。この個体の場合には、(ワシから見て)右側の翼の翼角のやや下の胴体寄りの所(大雨覆か次列風切基部)に白斑があること、また左右の翼前縁部の白い部分の形が左右非対称であることが特徴です。図鑑やネット上の他のオオワシの写真も確認しましたが、白色部や白斑の形状・位置は個体ごとにかなり異なっていて、湖山池のオオワシと全く同一パターンと思われるものはありませんでした。

 次に、上の図の右側の'90年代に湖山池オオワシを撮影した写真について。
 湖山池のオオワシの連続飛来は1994年1月に確認されたのが最初の記録。当支部会員のO氏によるものです。右側の一番上の写真は、最初の確認の数日後に朝日新聞鳥取支局によって撮影され同紙の鳥取版に掲載されたものです。翼下面には十分には光が当たっていないため、残念ながら白斑模様は明瞭には確認できていません。その下の写真は'94から'96年の間に当支部会員によって撮影された写真ですが、
原版を大きく拡大した写真であるために解像度に難があります。細かい白斑部分が写っているかどうかについては何とも言えません。

 結局、2008年よりも以前の湖山池のオオワシの翼下面が明瞭に写っている写真については、当支部の調査だけではその存在は確認できていないと言うのが現状です。
 昔の写真があれば、同一の個体が連続で湖山池に飛来していることが証明できる可能性が出て来ます。どなたか当時のオオワシの写真をお持ちではないでしょうか?翼下面の白斑部分が写っている写真をお持ちの方があれば、当サイトの管理人までご連絡ください。

 この件に関しては、朝日新聞鳥取総局にも過去の写真の調査等で御協力をいただきました。同紙の調査結果によると、琵琶湖北部のオオワシは当地と同様に翼の白斑模様からの判断により、今シーズンで同一個体が18シーズン連続飛来していると推定されるの事。湖山池のオオワシがその記録を越えられるかどうかは、昔の写真の存在の有無にかかっているようです。なお、飼育下でのオオワシの最長寿命は、札幌円山動物園の52才が最長とのこと。野生下では、推定で最長25年くらいとの事です。

 以上、湖山池オオワシに関する調査へのご協力を、よろしくお願いいたします。

(by 管理人)



・「全国鳥類繁殖分布調査」にご協力ください。
(2016/3/20)

 近年の人間活動による自然環境変化と地球規模の気候変動に伴い、日本国内で繁殖する野鳥の生息数やその分布は大幅に変化してきています。環境省は過去の1970年代及び1990年代に全国規模で野鳥の生息分布調査を実施し、日本国内の野鳥の生息状況とその変化の状況を把握して来ました。これらのデータは、日本の生物多様性の評価のための貴重なデータとして各方面で活用されています。

 現在、これらの貴重なデータを更新するための新たな調査を実施すべき時期となっているのですが、調査を実施するために必要な政府予算の目途がいまだに立っていないのが現状です。しかし、この調査は日本国内の環境の変化を把握する上で必要不可欠な調査であるため、「日本野鳥の会」等のNGO団体、環境省、大学の研究者等が共同で調査を実施するべく、自主的に準備を開始しています。

 この調査の内容は、今年2016年から2020年までの五年間に、全国の約2300地点での野鳥の生息調査を少なくとも一回は実施するというものです。鳥取県内では18地点が調査対象地域となっています。この調査に興味がある方は、「全国鳥類繁殖分布調査」のホームページをご覧ください。

 現時点では野鳥の識別には自信が無い方でも、ベテランの調査員の協力者として今年の調査に参加することができます。また、現在は野鳥に関する知識や経験がほとんど無い方でも、調査終了期限の2020年までに識別能力を高めることは十分に可能です。日本の環境の現状を把握してその情報を後世に伝えるための、約20年に一度の貴重な調査です。ふるってご参加下さい。
 不明な点については、本サイトの管理人までご連絡ください。



・新年合同探鳥会を1/17(日)に鳥取市湖山池で開催しました。(2016/2/20)

 数日前の天気予報は雪でしたが、当日は青空が見え風も無く穏やかな一日となりました。青島駐車場には会員外も含めて34名が集合。遠く県中部、県西部、さらに県境を越えた兵庫県新温泉町からも参加していただきました。

 まず橋を渡って青島へ。日曜日だと言うのに、なぜかシジミ採りの舟が何艘も出ていて、水面のカモが全然居ない。「しょうがないなあ」と言いながら橋を渡り終えた時、左手の方から大きな鳥が低空をまっすぐ飛んでくる!「オオワシ!」という叫び声が上がった!オオワシは我々の目の前を突っ切って、一直線に南岸の竹林付近に飛び込んで行った。後でこの時の写真を見ると、いつもは北岸にいる例のオオワシらしい。この鳥が南岸に来るのはとても珍しい。ちなみに、湖山池には23シーズン連続でオオワシが飛来しており、西日本での連続飛来最長記録の可能性があります。ずっと同じ個体が来ているのかという点については、現在調査中。

  
 オオワシが眼の前を通過!( 写真提供:K氏)  シジミ採りの舟が多くて、カモが居ない

 さて、島の遊歩道を左に向かって歩き出すと、桜の木の枝にシメがとまっていた。さらに進んで島の西側に来ると、はるか遠くで大きな鳥二羽がケンカをしていた。全身茶色で白い部分が見えないので、オオワシかオジロワシの幼鳥だと思うが、遠すぎてよくわからず。オオワシが先ほど南岸に飛んだのは、この二羽のせいかもしれない。

 さらにノスリを見たり、ウグイスの地鳴きを聞いたりしながら進み、島の最高点の展望台へと向かう。この展望台の標高は60mしかないが、ほぼ海抜0mから登るので結構キツイ。着いた展望台で小休止し、しばし歓談。ここは鳥取市街地や日本海が一望できて、晴れた日にはお勧めの場所です。ところで、合同探鳥会恒例の集合写真をここで撮るべきでしたが、ウッカリして忘れてしまいました。すいません。

 遊歩道に戻って橋に向かうと、桜の木に今度はビンズイやカワラヒワがとまっていた。シジミ採りの舟がいなくなったので、カモやカンムリカイツブリの群れも戻って来た。この冬は小魚が多いのか、カイツブリ類やカワウの大群をよく見かけます。橋を渡って駐車場に戻り、鳥合わせをして無事終了。皆様、ご苦労様でした。
(by 管理人)

  



   陽が当たる展望台にて、しばし談笑