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・7/9に湖山池と湖山川で過去に例がない規模で魚の大量死が発生。(2013/07/16記載、08/27にE水質データを8月までの値に更新)

 7/8に中国地方の梅雨明け宣言があり、その翌日の7/9朝、湖山池の全域と湖山川でコノシロ、ボラ、ハゼなどの汽水性の魚の集団死が発生しました。その量はこれまでの魚の大量死に比べてはるかに多く、池から湖山川に流出した死骸が一時的には川の水面を白く埋め尽くすほどでした。鳥取市と鳥取県は7/9の昼前から死骸の回収作業を始めたものの、死魚の量があまりにも多いため回収作業が追い付かず、連日数十人を動員して作業を続行。湖山川の死骸がほぼ全て回収されたのは、発生して四日後の7/12でした。この間、湖山川および湖山池沿岸の住民はひどい悪臭に悩まされました。
 7/13現在、池の水面に浮いている死骸はほぼなくなったものの、腐敗して湖底に沈んでいる死骸は多く、湖面には死骸から出た油分や汚濁膜があちこちに浮いています。
 以下、時系列に沿って写真を並べます。

 
@湖山池の中での死魚の発生状況

  
 2013/07/09 9:25 青島駐車場                           2013/07/09 9:30 池西岸お花畑公園の南側駐車場
 コノシロの幼魚と思われる死骸が散乱、湖底にも多くの死骸が見える。  無数の死骸が沖合まで浮かんでいる。 (注:コントラスト等を調整済)
 
 2013/07/09 9:40 付属小学校前
 ここも沖まで無数の死骸が浮いている。 (注:コントラスト等を調整済)

  
 2013/07/09 12:00 池東岸 お花畑公園の南側駐車場            2013/07/09 12:00 同左
 11h頃から吹き始めた北北西の風で死骸が岸に吹き寄せられた。      大きなボラの死体も数多く混じっている。
 右手の公園は9月から始まる都市緑化フェアとっとりの会場。
  
 2013/07/09 12:09 南岸 高住公園の岸に漂着した死骸           2013/07/09 12:14 南岸 青島駐車場
 コノシロの中に20cm近いハゼ類が混じっている。                コノシロの死骸が波にもまれている。
  
 2013/07/09 12:19 南岸 良田の船着き場                   2013/07/09 12:31 西岸 ツヅラオ公園遊覧船係留地
  風に流されず残ったコノシロの死骸                       この付近の水面には死骸はないが、水深10cm程度の湖底にハゼ類
                                              やテナガエビの死骸が散乱。既に腐敗が始まっており、この日の朝
                                              ではなく前日に死んだようにも見える。
  
 2013/07/09 13:34 西岸 福井展望所                      2013/07/09 13:46 北岸 三津の船着き場
  ここでも水面に死骸はないが、水深数cmの湖底にハゼやエビの     西風に流されず残った死骸。
  死骸が無数にある。
  
 2013/07/09 13:58 北岸 高校のポート庫                   2013/07/09 14:10 北岸 付属小学校前
 この付近は比較的大型の魚が多い。                       体長50cmはある大型のボラも打ち上げられていた。


 ・7/9当日の風向と潮汐
 池に一番近いアメダス湖山の記録と、気象庁の潮汐予報(湖山池に一番近い岩美町網代港のもの)によるデータを下記に示す。

      時刻  風向    風速(m/sec)       7/9潮汐 岩美町田後港   
  7/9  4:00  南南東     3                  満潮時刻  03:49 13:57
      5:00  南東      4                  干潮時刻  07:35 21:38
      6:00  南東      4                 
      7:00  西       3                 
      8:00  北北東    1
      9:00  北北西    1
      10:00  北       3
      11:00  北       3
      12:00  北西      5
      13:00  西北西    5
      14:00  西北西    4

 ・これらの写真とデータからわかること
  あとで詳しく述べるが、この魚の大量死の原因は水中の酸素不足による窒息死であることは確実である。湖沼の水中の酸素は早朝に最低値となるので、この大量死は7/9早朝に発生したものと思われる。

  (a)魚の大量死は湖山池の全域で発生している。
 池全周の浅瀬のある岸辺でハゼ類やエビ類の死骸が確認されている。特に、酸素不足に強いとされているハゼ類が(マハゼなどは、釣ったあと冷蔵庫に一日入れて置いたあとでもまだ生きている)、浅瀬で大量に死んでいることは、この酸素不足の領域が急速に、かつ水面のごく近くまで上がってきたことを示していると思われる。 昼過ぎに確認した時点では池の西側の岸近くでは水面に浮いている死骸は東岸に比べて少なかったが、当日10hごろから吹き始めた北風、のちに北西風によって死骸が東南方向に流された可能性が強い。

  (b)湖面で浮遊していた死骸は、引き潮に乗って下流の湖山川に大量に流出。
 当日朝の賀露付近の海岸で引き潮が始まったのは、田後の満潮時刻の 3:49以降だったと思われるが、河川の内陸部での引き潮はそれよりも遅れるので、湖山池の表層の水が湖山川方面に向かって流れ始めたのは4時から5時の間だったのではないだろうか。この引き潮に乗って湖山池の死骸が湖山川に大量に流れ出したとものと推定される。この事件の最初の発見者は湖山川沿いの住民で、発見時刻は5:30前後であったとの報道がある。


 
A湖山川の状況と回収作業の様子

 
 2013/07/09 14:15 付属小前の湖山川への池口近く
  死んだ魚が集まって長さ200m程度の帯が出来ている。
  
 2013/07/09 14:15 付属小前                           2013/07/09 14:17 付属小前
  死魚の帯を拡大                                  回収用のクレーン車やNHKなど報道陣の車が集まっていた。
  
 2013/07/09 14:17 付属小前                           2013/07/09 14:17 付属小前
  県と市の職員が回収作業をしている。                     回収された死骸の袋。周囲は猛烈な悪臭で呼吸が困難。
  
 2013/07/09 14:20 湖山町南一丁目付近                    2013/07/09 14:24 湖山町南二丁目付近
  満ち潮に乗って死骸が池の方向に逆流中。写真手前が海側。       湖山川から分岐し再び合流する古川でも、死骸が逆流中。
  
 2013/07/09 14:29 旧国道の湖山橋付近                    2013/07/09 14:32 湖山橋の下
  ここでも回収作業をしていた。                           水深10cmほどの浅瀬でハゼ類が多数死んでいた。
  
 2013/07/09 14:38 賀露町南一丁目付近                   2013/07/09 14:44 賀露水門上流約50m地点
 岸辺にたくさんの死魚が引っかかっている。                 右が海側。回収用の網は満杯。大量の死魚が一度水門を越えたようだ。

 県の広報では、午前11時から県と市の職員約30名を動員して回収作業を開始したとのこと。
 湖山橋下の浅瀬でもハゼ類が死んでいることから、湖山川でも湖山池と同様に、7/9の早朝は一時的に水面まで無酸素状態になっていたと推定される。ハゼ以外のコノシロやボラも湖山川の中で大量に死んだのだろう。大型のハゼの死骸は水面に浮くが小型のハゼの死骸は水底に沈んだままなので、その地点が無酸素状態になったかどうかの判定材料になる。

 
Bその後の湖山池と湖山川の状態

  
 2013/07/10 09:26 湖山町北六丁目                       2013/07/10 16:19 三津の鳥取医療センター近く
 国道九号線の橋から上流側を見る。まだ死骸が散乱している。       この日は東寄りの風だったので浮遊する死骸がこの付近に集まった。
  
 2013/07/10 16:19 三津の鳥取医療センター近く                2013/07/11 8:58 湖山町北六丁目
 湖山池の伝統漁に使われていた石ガマもごらんの通り。           依然として死骸が散乱、川沿いはどこもひどい悪臭。
  
 2013/07/13 9:45 付属小前                            2013/07/13 11:51 お花畑公園の南側駐車場
 打ち上げられていた死骸が腐敗して崩れ始めている。             沈んだ死骸から出てきた油分などが水面を覆う。

 湖山池の水の色は、7月初めごろから赤潮が発生したのか赤茶色に濁っていたが、今回の大量死の7/9頃には暗緑色に変化した。植物プランクトンが大発生した模様。7/14時点では、再び赤茶色になったが以前よりも黒味を帯びている。

 
C県の発表内容

 この問題に関する県の広報が現時点までに二回発表されている。  7/9発表県広報(第1報)     7/10発表県広報(第2報)
 この広報の内容を簡単にまとめると次のようになる。

 ・湖山川で魚の大量の斃死を確認と報道(第1報)。第2報では湖山池の内部でも斃死が確認され回収したと書いてあるが、主に湖山川で発生したことを強調しており、湖山池での斃死は軽く触れられているだけである。各報道機関はこの広報の内容をそのまま報道しており、湖山川を中心として発生した現象との内容になっている。湖山池で県と市が実施中の湖山池への塩分導入事業との関連に極力触れたくない意図が見て取れる。

 ・発生原因は夜間に急激な溶存酸素の低下が起こったためとしている。具体的な溶存酸素(DO)の値も記載しているが、これらは全て湖山川内部の地点のデータであり、湖山池内部のデータは示していない。ここにも現象を湖山川だけに限定しようという意図が見える。

 ・死んだ魚の魚種は、コノシロ、サッパ、ボラ、フナ等。

 なお、新聞報道によれば、7/11までに回収した死魚の量は約35tonに達したとのこと。先回の、五月の末から発生したフナ・コイの大量死は最後に公表された数字が約11tonである (さらに増えたのかもしれないが、最近の鳥取県の提供情報では、県にとって都合の悪いニュースに関する最終データは、いつのまにかウヤムヤになって公表されないのが常態である。一年以上あとに非公開の場で最終データを発見することがしばしばである。)。
 今回は約一か月前よりもはるかに大量である。このほかに回収されずに湖底に沈んだ死骸も莫大な量に達すると思われる。この大量死以降、いつも湖面で飛び跳ねていたボラの姿を全く見ない。少なくとも湖山池に生息していた大型の魚については、その大半が死んでしまったようである。

 
D今回の大量死の原因

 今回の大量死は、県と市が昨年春から開始した湖山池の塩分導入事業に原因があることは明白である。
 塩分導入の結果、湖底に高塩分の層ができ、表層には低塩分の層が形成される。この二つの層の境界を「塩分躍層」と呼んでいる。高塩分の水は比重が重いので、湖水の垂直方向の対流が妨げられ、水面から供給される酸素は深部の高塩分層までは到達しない。酸素が供給されない高塩分層は無酸素状態となり、嫌気性細菌以外の生物は生存できなくなる。さらに酸素と日光の豊富な表層で繁殖した珪藻などの植物プランクトンと、それを捕食する動物プランクトン等 (従属栄養生物) の死骸が湖底に降り積もるが、湖底は無酸素のため死骸は分解されずいわゆるヘドロとして蓄積される。湖底にヘドロという未分解の栄養分がたまり続ける結果、湖沼はどんどん富栄養化し同時に表層の水質も悪化する。

 この現象の概要を下の図に示す( 注:図の右側にある白い矢印 ⇒は、酸素の移動方向を示している )。

 この図の中の左上のイメージは、夏季に水温の差によって表層水と深層水の二層が形成されることを示している。この場合にも垂直方向の対流は阻害される。塩分躍層と同様に、この場合にも表層からの酸素は深層までは届きにくくなるだろう。一昨年までの湖山池の表層塩分濃度は最大で海水の1/20程度であり、夏季の状態は大体このイメージに近いものだっただろう。ただし、この温度差による深層水の無酸素化はそれほど極端なものではなく、深場は別として浅場では貝類などの底生生物にも大きな影響は与えなかったと思われる。夏季に表層にヒシやアオコが発生したが、水深の深い領域(湖山池の最深地点は水深6.5m)にはヘドロが蓄積されているものの、水深の浅い領域では湖底まで酸素が供給されており、カラスガイなどの希少生物の住みかとなっていた。 

   
 国土交通省「湖沼における水理・水質保全の技術 湖沼技術資料集 第一章」より転載   
   http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kankyo/kankyou/kosyo/tec/

 注:塩分躍層に関する解説としては、次の奈良教育大 藤井研究室のサイトも図が多くて理解しやすい。中海・宍道湖水系を例に解説。
   http://mailsrv.nara-edu.ac.jp/~fujii/kisuiko/NAKAUMI.HTM

  上の図を一言で説明すると、「深層に塩分が多量に入っている汽水湖が夏をむかえると、塩分躍層に加えて、表層と深層間の温度差による表層からの酸素移動の阻害も発生、さらに高温による汚濁底泥の分解促進による深層での酸素消費が加わり、底層に大規模な貧酸素水塊が形成される」 ということである。
 昨年3月に県と市によって水門全開・塩分導入が実施され、湖山池の湖底に海水が浸入し始めた。昨年の8月には早くも浅場の塩分濃度は海水の3〜4割、深層の塩分濃度は海水の2/3に到達、昨年夏にはこの図の右側に示すように高塩分・貧酸素の層が分厚く形成されてしまったものと思われる。浅場の塩分濃度は、12月以降の冬季の雨や雪による流入水によっていったん海水の1/4程度まで低下したが、その後は再び上昇し、今年の6月には早くも昨年の塩分最高値である海水の約4割の値まで達した。

 このような県と市による海水導入の結果、昨年夏にはすでに上の図の右側のように、池の深部には魚や貝などの生物が生きられない貧酸素層が形成され始めていたものと思われる。昨年夏から秋にかけて表層で生産された大量の有機物の死骸はどんどん湖底に降り積もった。細菌や微生物がこの死骸を分解する過程で酸素が消費されるので、湖底近くの無酸素層はその厚みを増し上方に伸びていった。今年になってもこの状況は変わらないので無酸素層は急速に厚みを増し、生物が生きられる表層の酸素豊富な層の厚みは著しく薄くなってきていた。そこに梅雨明けで水面近くの水温と日照が急激に増加、表層で植物プランクトンが爆発的に増加した。 (実際、梅雨明け前の7月上旬の湖山池の水の色は早くも赤潮が発生し始めたらしく赤茶色になっていたが、7/9頃を境として急速に暗緑色に変化した。)

 植物プランクトンは日光のある昼間は光合成により酸素を放出するので水中の溶存酸素は増加する。しかし、夜間には植物プランクトンは逆に呼吸によって酸素を消費する。梅雨明けの7/8には強烈な日光が降り注ぎ温度も上がったので、日中に植物プランクトンやそれを餌とする微生物が爆発的に増えた。しかし、夜になるとこれらのプランクトンや微生物は酸素を消費するだけの存在に変わる。大量に増えた植物プランクトン等が7/9の未明にかけて表層の酸素を消費しつくしたために、表層は無酸素状態となり湖山川と湖山池の全領域で大量の魚の死を招いたものと思われる。

 以上をまとめると、塩分導入の結果、湖山池と湖山川の底層には無酸素層が形成され、魚などの生物が生息できる表層の酸素が豊富な層は著しく薄くなっていた。梅雨明けによる水温上昇、日照の増加などの外乱によって一時的に表層が無酸素化し大量の魚が死んだ。これが今回の大量死の真相であると推定される。

 要するに、県と市がこの湖山池塩分導入という阿呆な事業を実施しなければ、湖底の無酸素層は小規模なままであり、有酸素層は従来通り浅場の湖底近くまで広がっている状態が維持されて、今回のような前代未聞の魚の大量死は発生しなかったはずである。
 7/9の当日、夕方の日本海TVのこの件に関するローカルニュースを見ていたら、湖山橋近くの住民が「70年以上ここに暮らしているが、こんなことは今まで見たことがない」と話しておられた。江戸時代手初期に湖山池が陸封され海から切り離されてから約四百年間の歴史の中で、初めての現象がいま目の前で進行中なのである。
 ここまで読んでこられた方には、今回の発生も含めて、昨年来何度も繰り返されてきた湖山池の魚の大量死という環境破壊の責任を、誰が負うべきかは明らかであろう。環境に対する犯罪行為を、行政当局が税金を使って行っているのである。

 
E池の水質悪化は急速に進行中

 聞くところによると、以前から鳥大の研究者は「湖山池に海水を導入すると、池の水質は確実に悪化する」と指摘されていたそうである。池の水質の推移を見ると、まさにこの予測どおりに水質は悪化してきている。

 下の図は、平成19年度から平成23年度までの5年間の各水質指標の月ごとのデータに、昨年平成24年度と今年の平成25年度のデータを書き加えたものである。月ごとの水質指標の値は、鳥取市のHPで公開されている。
 赤い線は昨年度の各水質指標の推移、緑の線は今年度の推移を示す。黒丸は平成23年までの五年間の各月別平均値、二本の黒い横線はこの五年間における各月別最大値と最小値をそれぞれ示している。

       

 各指標別にまとめると次のようになる。

 COD(化学的酸素要求量): 一般的には水中の有機物の量に比例する。今年の二月に過去五年間の各月別最大値を突破し、それ以降は先月まで各月別最大値に近いか、それを超える状態が続いている。特に、2013年6月の測定値7.9mg/Lは、過去の約六年間の全期間中での最高値である。

 全窒素: 水中の無機及び有機窒素化合物の総量。富栄養化の指標であり、この値が高いほど水質が悪化していることを示す。昨年の十月以降はほぼ毎月、過去の五、六年間での各月別最大値を更新し続けている。この状態が2013年7月まで連続十ケ月も続いている。特に、今回の大量死の発生した7月には異常に高い値をしめした。

 全りん: 水中の無機及び有機リン化合物の総量。これも富栄養化の指標であり、この値が高いほど水質が悪化する。昨年の十月に過去五年間の各月別最大値を突破してからは、各月別最大値に近いかそれを超える状態が、2013年8月まで既に十一ケ月も連続している

 このデータから、現在の湖山池の水質は、少なくとも過去六年間の冬から夏の時期の水質に比較して、最悪の状態となっていることがわかる。これらチッソやリンなどの水中の栄養塩は、湖底に厚く蓄積されたヘドロなどの一部が分解して表層に移動してきたものが主であると思われる。
 2013年6〜7月時点での状態は、池の水の中に栄養分がたまりにたまっている状態であり、何かの変化をきっかけとして植物プランクトンが爆発的に増殖する危険性が高まっていた。今回は梅雨明けの高温、日射量の増加がそのきっかけとなったのだろう。

 
F今後の対策について

 各種の報道によれば、この大量死に対する対策として、県は当面は水門を全開して海水を流入させることを決定したとのこと。そのほうが湖山川と湖山池の酸素濃度が改善すると信じているようである。これではむしろ貧酸素層をさらに分厚くし、酸素豊富な表層の厚みを減らすだけであり、長期的に見れば池の生物にとっては百害あって一利なしだろう。
 上の塩分躍層に関する説明を理解していればこんな発想をするはずはなく、この対策の立案者が大量死発生のメカニズムを全く理解していないことを明瞭に示している。まあ、理解していないからこそ、塩分導入のような愚かな事業を始めたのだろうが・・・。
 今後の対策だが、池の塩分を薄めて塩分躍層を消失させない限り、水質は悪化し続けるだけである。しかし、秋の長雨が始まるまでの今後約二か月間は、池の塩分が薄まることはまず期待できない。その間、有機物は湖底に堆積し続け、池の水質はさらに悪化するものと思われる。
 秋に雨が降り始めるまでのこの夏の間、再びこのような大量死が起きないことを祈るほかはない。
 (by 管理人)